中古万年筆の選び方

皆さんは中古万年筆を選んだことはありますか。
おそらくこちらのページをご覧の方は、中古万年筆に興味がお有りの方、もしくは興味を持っていていくつか持っているものの、いまいち選び方がわからない方も多いと思われます。
元に万年筆の選び方をインターネットで調べてみても、出てくる情報は全て"新品の商品を選ぶケース"ばかりです。



確かに中古の万年筆は中古品であるがゆえに「ある程度の問題は抱えているもの」と考えるのが筋かもしれません。

しかしそうは言っても、昔見かけたあの万年筆、もう手に入らなくなってしまったあの商品を、なるべくいい状態で手に入れたいというのは至極自然な欲求です。

今回は中古品でもなるべくいい状態の商品を手に入れたいという皆様のために 絶対に確認したほうがいい「抑えるポイント」と、「こだわりポイント」をそれぞれリストアップしてみました。 皆様の万年筆ライフに少しでも役立てば幸いです。



1.抑えるポイント

まずは、最低限これだけは見なければいけない要素をリストアップしました。

ここのリストさえ気をつければ、ひとまず筆記するのに問題のない万年筆が手に入ります。



1-1.状態

まずは、状態です。具体的にはキズやスレ、汚れなどですね。 インターネットの画像は、多くのショップ様が画像詐欺などにはならないように気をつけて撮影をしておりますが、 それでも使用しているモニターの設定によってはぼやけてしまったり、見えなくなってしまう可能性があります。  忘れずに文字でも確認しておきましょう。

また、きちんと書けるかどうか、これも当たり前ですが重要です。多くのショップでは「書き味」と表現されています。



1-2.インク補充形式

続いてはインクの補充形式です。これは以外にも重要で、今後万年筆をどのように使っていくかに関わってきます。 例えば手軽に使いたいのなら絶対にカートリッジ式(コンバーター両用式とも)のほうがおすすめですし、 万年筆らしい手間をかけたい場合には吸入式などカートリッジ式以外の商品をおすすめします。



1-3.字幅

字幅は最も重要な要素の一つです。 なぜなら使用の目的に関わってくるためです。しかしここでもう1つ問題があります。 万年筆の字幅ってなんだか……「F」や「M」と書いてあって、何ミリなのかよくわかりません。 ボールペンと違って万年筆は筆圧によって字幅が微妙に変わるので正確な単位を表すことができないことから、このような表記をされています。 また、万年筆文化であったヨーロッパ圏ではこのような背景から、そもそも文字に正確な字幅を求めないケースが多く、ボールペンであっても上記の字幅表記が採用されています。 ミリ表記のボールペンやシャープペンに慣れた我々には少し取っ掛かりになってしまう部分です。

 

そこで、このページではそれぞれの字幅がボールペンでいうとどのくらいの字幅に対応するのか、それぞれ表にしてみました。ご参照ください。

   

※海外製・特にヨーロッパ規格の万年筆は、日本の字幅よりも1段太いとお考えください。例えば、ペリカンの細字万年筆は、パイロットの中字程度の字幅ということです。

※万年筆の字幅には、縦線は太く、横線は細く書けるような製品もあります。見たことのない字幅は、是非店員さんに聞いてみましょう。

字幅用途mm表記換算
極細 EF 手帳・ノートなどの板書
(特に細かい字を書く方向け)
0.25~0.3mm
細字 F手帳・ノートなどの板書・公的文書・レポート0.3〜0.35mm
中字 M メモ書き・手紙・公的文書・レポート 0.35mm〜0.45mm
太字 B 宛名書き・サイン・ブレインストーミング0.5mm〜0.6mm
極太 BB 宛名書き・サイン・ブレインストーミング0.65mm〜0.7mm



1-4.ペン先

最後に、ペン先です。 多くの万年筆ショップでは「ペン先の素材」を明記しております。  実はペン先の素材は書き味に大きく関わってくるのです。素材と言ってしまうと少し難しそうですが、身構える必要はありません。金か、それ以外か。この2択で考えましょう。

 
  • 金ペン先
  • 14Kや18K、21Kと刻印のされた金ペン先の特徴は柔らかな書き味にあります。筆圧によってしなるため、時間をかけて使う人へ馴染んでいきます。 しかし、中古品万年筆の場合はここがネック。前の使用者へ馴染んだ書き味がまだ残っている可能性があるため、使い続けるには根気が必要。

    一方で金ペン先は金ですので錆びるということが有りません。ですからインクによる劣化が少ないため、一生付き合っていくならやはり金ペン先です。

    ちょっとお試しというよりは、長く万年筆に付き合っていきたい人向けです。

     
  • 金以外のペン先(鉄・ステンレス)
  •  

    金ペン以外のペン先は主に鉄ペンと呼ばれます。 スチールやステンレススチールを使用しているためですね。 金属そのものが金よりも硬いため、書き味はどちらかというと固めで、馴染んでくるということは少ないのですが。どんな人にも快適に書けるように調整されています。

    しかし金ペンとは違い、鉄なので錆びてしまいます。 数日放っておいただけで錆びるということは有りませんが、4~5年も経過すると、保管方法によってはペン先に腐食やサビが見られます。

    まずはお試し! という初心者の方には鉄ペンがオススメなのです。



    2.こだわりポイント

    続いてこちらは、自分の好みで選んでいい場所です。 世の中には色々と、「ここに気をつけたほうがいい」「こういうときにはこうするべきだ」という情報はたくさんありますが、 意外にも「これは別に気をつけなくていい」という情報は少ないものです。 ここに書かれている要素は是非皆さんのこだわりを持って選んでみてください。



    2-1.太さ

    よく、細いペンは疲れやすい。太いペンは疲れにくい。といったいろいろな通説が囁かれていますが、筆記中の疲労原因の大部分は、姿勢に含まれます。 もちろんペンは細いほうが取り回しはよく、太い方は重量があるため握り込まなくても書けるという良さはあるのですが、取り返しのつかない部分では有りません。 細いペンならスマートで知的に見え、太いペンは存在感があってダンディーさを楽しめます。自分のこだわりで選んでしまいましょう。



    2-2.メーカー

    万年筆はやはりモンブラン! いやいや日本人なら国産万年筆だ。 いろいろな意見がありますが、これも好みです。既に同じメーカーのインクを大量に持っているならともかく、基本的にどんなメーカーの製品を選んでも問題はありません。 自分の好きな国のメーカーを選んでみちゃいましょう。強いて言うなら、細かな漢字を多く書く方は日本の万年筆がオススメです。



    2-3.価格

    万年筆は一生モノだからいっそのこと高いものを。あるいは初めてだったら安いモデルから。 これもいろいろな意見があります。しかし万年筆を使うのは他でもないあなたです。 万年筆の機能という面で見れば、最近は安価だからといって悪いというものは少ないように思われます。 価格帯は気にせずご自身のお財布と相談しながらお選びください。



    2-4.デザイン

     

    最後にデザインです。これも何が良くて何が悪いかということはありません。強いて言うなら冠婚葬祭の特に葬のときには、ゴールドでなくシルバーとブラックのものに限られるというくらい。みなさんのセンスに合わせて選んでいただいて大丈夫なんです。



    まとめ

    以上で中古万年筆の選び方とさせていただきました。少しでも皆様のお役に立てたのなら幸いです。

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